ロンリーハーツクラブ

独りぼっちの人に送る、うんと切ない歌のことば。

【和訳】Man's World - Marina

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11月19日の今日は国際男性デー

 

この日は男性のためだけの日ではありません

国際男性デーの目的は、男性の健康に注目し、性の関係を見直し、社会でのジェンダーの平等を訴えかけること

そんな今日にぴったりな、マリーナによる新曲を紹介します

 

Man's World

マンズ・ワールド

 

アーティスト

Marina

 

収録アルバム

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Man's World (シングル)

 

 

♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡

 

[原文:太字、訳文:通常]

Cheeks are rosy like a Boucher cherub

頬はブーシェが描いた智天使のようなバラ色
I'm a strawberry soda

私はストロベリーソーダ
Raise my lashes to heaven

睫毛を天に届くほど高く伸ばして
Stars in my hair running like a waterfall

星々が滝のように私の髪を流れる
Clouds in the whites of our eyes, we saw it all

白眼には雲が宿り、私たちは全て見てきた
Burnt me at the stake

私を火刑に処したでしょう
You thought I was a witch, centuries ago

何世紀も前 あなたは私を魔女(ウィッチ)だと言い
Now you just call me a bitch

今では私をビッチと呼ぶ


Mother nature's dying

母なる自然は死にそうなのに
Nobody's keeping score

誰も記録しようとしない
I don't wanna live in a man's world anymore

男が支配する世界にはもう住みたくない
I don't wanna live in a man's world anymore

男たちが支配する世界にはもう住みたくない
Anymore

もうこれ以上は


Marilyn's bungalow it's number seven

マリリンのバンガローは7号室
In the pink palace where men made her legend

そのピンクの宮殿で男たちが彼女を伝説に仕立てた
Owned by a sheik who killed thousands of gay men

所有するのは何千もの同性愛者を殺した国王
I guess that's why he bought the campest hotel in LA then

だからLAで1番気取ったホテルを買収したんでしょうね

 

Mother nature's dying

母なる自然は死にそうなのに
Nobody's keeping score

誰も記録しようとしない
I don't wanna live in a man's world anymore

男が支配する世界にはもう住みたくない
I don't wanna live in a man's world anymore

男たちが支配する世界にはもう住みたくない

 

If you have a mother, daughter or a friend

あなたにも母親や娘や友達がいるなら
Maybe it is time, time you comprehend

きっと今こそ理解すべき時
The world that you live in

あなたが今住んでいる世界は
Ain't the same one as them

彼女らにとっては全く違うもの
So don't punish me for not being a man

男じゃないということで罰するのはやめて

 

Spring appears when the time is right

春は来るべき時にやって来る
Women are violets coming to light

女性たちはスミレと同じ、光へと現れる
Don't underestimate the making of life

人生の歩みを甘く見ないで
The planet has a funny way of stopping a fight

この惑星は争いを止める変わった方法を知っている

 

Mother nature's dying

母なる自然は死にそうなのに
Nobody's keeping score

誰も記録しようとしない
I don't wanna live in a man's world anymore

男が支配する世界にはもう住みたくない
I don't wanna live in a man's world anymore

男たちが支配する世界にはもう住みたくない

 

If you have a mother, daughter or a friend

あなたにも母親や娘や友達がいるなら
Maybe it is time, time you comprehend

きっと今こそ理解すべき時
The world that you live in

あなたが今住んでいる世界は
Ain't the same one as them

彼女らにとっては全く違うもの
So don't punish me for not being a man

男じゃないということで罰するのはやめて

 

So don't punish me for not being a man

男じゃないということで罰するのはやめて

'Cause I'm not a man

私は男ではないから

 

♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡

 

歌詞にストレートに描かれている通り、マリーナがこの曲を通して訴えかけたのは、過去から現代に通して社会が女性たちをどれだけ不平等に扱ってきたかということ

 

権力を持った男性ばかりが社会を握り、その中で女性たちをはじめとした"Toxic Masculinity"「有害な男性らしさ」という規範から外れた人々が虐げられていることを訴えています

 

Cheeks are rosy like a Boucher cherub

頬はブーシェが描いた智天使のようなバラ色

フランソワ・ブーシェはフランスのロココを代表する芸術家です

 

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『音楽の寓意』(1752)

 

ブーシェが描く天使たちは、バラ色の美しい頬をしています

 

Burnt me at the stake

私を火刑に処したでしょう
You thought I was a witch, centuries ago

何世紀も前 あなたは私を魔女(ウィッチ)だと言い
Now you just call me a bitch

今では私をビッチと呼ぶ

15世期から18世期にかけて行われた魔女狩り

閉ざされたコミュニティから逸れた行動をしたり、気に食わないとされれば魔女という存在に仕立てあげられ、裁判にかけられ、処刑されました

犠牲者には男性も含まれていましたが、多くは女性でした

 

古くは女性を罵る言葉に魔女、ウィッチが使われていたけど、現代ではビッチ bitchが主に使われています

もちろんコンテキストによって意味合いは変わりますが、多くの場合は罵りとして使われます

 

火刑、火炙りは魔女狩りで多く用いられた処刑法でした

 

Mother nature's dying

母なる自然は死にそうなのに
Nobody's keeping score

誰も記録しようとしない

環境破壊が進む中、見ぬふりをし続ける人々

 

Marilyn's bungalow it's number seven

マリリンのバンガローは7号室
In the pink palace where men made her legend

そのピンクの宮殿で男たちが彼女を伝説に仕立てた

 

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ビバリーヒルズにある ザ・ビバリーヒルズ・ホテル

マリリン・モンローなどを始めとするセレブから愛されていたホテルです

その特徴的なピンクの外観から、

ピンク・パレス、ピンクの宮殿とも呼ばれています

 

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このホテルは2019年にモンローをテーマにしたバンガローをオープンしています

モンローが愛した香水を含めたアメニティや、彼女が良く食べていたメニューからインスパイアされた食事などが楽しめます

お値段一泊$8,500

 

Owned by a sheik who killed thousands of gay men

所有するのは何千もの同性愛者を殺した国王

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ここで言われているのは、ブルネイの国王

ハサナル・ボルキア

彼は国王でありながら莫大な個人資産の持ち主であることも知られており、先述のビバリーヒルズ・ホテルも所有しています

 

2019年 4月 ブルネイで同性間での性交渉を含めた罪で有罪判決を受けた被告に、石打ちでの処刑などが適応される法案を可決しました

このことから世界に波紋が広がります

もちろん世界各国から非難が殺到

その結果5月に、その刑法への猶予を発表しました

外交などへの影響を考えた上での判断だったのでしょう

 

しかしあくまで猶予が適応されるのみであり、この恐ろしい刑法は依然として存在し続けています

そのため今後も動向に注意しなければいけない状況です

 

何百年 何千年、そして現在も続いているジェンダー間の不平等

権力を握るシスジェンダーストレートの男性たちが行う残虐行為

世界は確実に変わってはいますが、それでもまだまだ苦しんでいる人々がいます

フェミニズムは年齢やジェンダーに関係なく、誰もが関心を持つべきこと

一人でも多くの人が、国際男性デーのような今日だけでなく、常にそのことを心に留めてくれれば、と思います